大学SF研のOB・OG会の前に映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を見に行った話

先週、大学時代のSF研究会の面々の飲み会があり、行ってきました。今回の集まりは大学を出た後ほとんど会っていなかった参加者が多く、三十年ぶり四十年ぶりという方々ばかりのメンツ。顔も名前も記憶が薄れてきていて、会場に着くまでは少々臆するところがありました。

ところが面白いことに、皆さん年齢相応の姿形(特に男性は髪の毛が)になっているんですが、話しっぷりというか声と口調は変わらないんですよね。テーブルの反対側から声が聞こえてくると、ああ、アイツが話しているんだというのが即わかる。居酒屋個室のあちこちでみんな勝手な話をしている、その雑然とした雰囲気が統制のゆるいSF研そのもの。ゆるゆるなオタク話が進むにつれ、大学時代の雰囲気が蘇ってきて、大変懐かしい気分になりました。

さて、その日は夕方からの飲み会だを控え、せっかくSF研の集まりに出かけるんだからということで、飲み会の前の時間に話題のSF映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を観ることにしました。


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この作品、2021年の暮れに原作の邦訳が出版されています。当時(翻訳SFとしては)結構な話題作となり私も即読んで、ずいぶん楽しませてもらいました。原作の魅力は、窮地に陥ってもユーモアと科学精神を忘れない主人公のキャラクター、そして、そのキャラクターの試行錯誤を丁寧に、しかも読者を飽きさせないように描いた描写のうまさだと思っています。この原作の雰囲気が映画でも味わえるのか、単行本で上下二冊という原作のボリュームが映画にうまく映画に収まっているのか、というのが鑑賞前の心配でした。

実際に観た感想としては、映画は映画で優れたSF作品になっているけれども、原作とは魅力がまた違うな、というところです。まず、主演のライアン・ゴスリングの演技が良かった。この話は、主人公の一人芝居の分量が大きいのですが不自然さがなく、また、「突然、無茶苦茶な冒険に放り出された普通の人」である主人公の雰囲気が、二枚目過ぎないゴスリングのキャラによく合っていたように思います

一方、尺の長さについては、原作の魅力であるデテールの描写を省く、もしくは映像に語らせるというやり方でうまく収めたなというところです。正直、SFとしての設定についてはほとんど説明されておらず、これ、原作未読の人はストーリーが飲み込め無いんじゃ無いかと思いました。でも、映画が終わった後、「いや、最高だったな」と話している人たちがいて、設定周りの薄さは大した問題ではなかったようです。

さて、SF研の飲み会では、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』観てきたよという話もしました。あ、自分も観た観たとか、映画観ていないけど小説面白いよねという人たちもいたんですが、未読・未鑑賞の人の方が多数。そうなると、ネタバレ厳禁の作品なんで、途端に飲み会の話題にしづらくなるんですよね。昔から、飲み会に集まった全員が読んでいるSF小説ってあまりなくて、そういうところウチのSF研だよなぁと思った次第です。