無料AI比較:日本に海外SF小説ファンはどのくらいいると思う?

生成AIサービスもかなり一般化して、サービスも出揃ってきました。プログラミング、コーディングやら、分析・研究に本格的に使うなると有料サービスを使わないとダメ、という話もよくみかけます。しかし、カジュアル・ユーザーとしては、無料サービスの出来具合が気になるところです。

無料の生成AIサービスというと、ChatGPT、Grok、Geminiあたりがメジャーかなと思います。今回、この3つのサービスの比較を兼ねて、ちょっと知りたいなぁと思っていた、日本に海外SF小説のファンはどれくらいの人数いるのか? を質問してみました。

回答結果は3つのサービスで違っていて、おもしろかったです。

各無料AIサービスの回答

「日本に海外SF小説ファンはどのくらいいると思う?」という質問を、最初はざっくり、その後具体化していって3つに分け、ChatGPT、Grok、Geminiにきいてみました。利用したのはいずれも無料版です。

各サービスとも、回答の中でいろいろ解説してくれるのですが、ズバリ人数規模についての回答部分を抜き出して比較したのが下の表です。

質問 ChatGPT X Grok Google Gemini
質問1:日本に海外SF小説のファンはどのくらいいると思いますか? 「毎月新刊を追うような海外SFの熱心なファンは全国で数万人、その周辺に大作や話題作だけ読むライト層が数十万人」
日本の読書人口や翻訳出版の規模を考えると、このくらいが現実的な数字です。
数万人から十数万人規模のコアなファン層が存在すると推測。この数字は、SF全般のファンの中でも特に欧米の作品に親しむ層を考慮したもので、ライトな読者を含めればさらに多くなる可能性があります。 欧米の翻訳SF小説のファンは、日本のSFファン全体の中でも、特に熱心で専門的な知識を持つ層が多いと推測できます。具体的な人数を特定するのは難しいものの、数万人から数十万人規模のニッチなファン層を形成していると考えるのが妥当ではないでしょうか
質問2:海外SF小説を1年間に複数冊、購入する人をファンとすると? 日本における「海外SF小説を年に複数冊購入するファン」=およそ10万〜15万人規模
(コア層の外側に、映画化や話題作だけを買うライト層がさらに数十万人)
日本における海外SF小説ファンの人数規模は約2.5万~5万人程度と推定 日本にいる海外SF小説ファンの人数規模は、数万人から数十万人と推定
質問3:出版社の販売データや、ブクログ読書メーターなどのでの言及、SNSの反応などを加味すると? もっとも現実的なレンジ:100,000〜300,000人
推奨する“採用値”(便宜上の中心値):
約180,000人
日本における海外SF小説ファンの人数(1年間に複数冊購入する人)は約3万~7万人と推定 日本における海外SFファンの人数は、熱心なファン層が数万人、そこに広義のファン層を合わせると数十万人規模に達する
ChatGPTのみ:AI提案のより具体的な刊行数情報の利用 推定海外SF複数冊購入ファン:
約3万人〜17万人(中央値 約10万人)
無し 無し
ChatGPTのみ:AI提案のブクログ読書メーターの実際の登録数の利用 レンジ(無償データで算出):約30,000人 〜 170,000人
合理的中心帯(私のベスト推定):約60,000人 〜 90,000人(最も現実的に見える範囲)

各サービスの回答の特徴

教育的回答のChatGPT

ChatGPTの回答の特徴は、「教育的」であることのように感じました。

ファンの定義や対象とする書籍について指定した質問2からは、回答数値の算出に使った計算式を示してくれます。具体的には、「年間販売部数÷一人当たり購入冊数」で対象人数を算出できます、といった形です。そして、変数(年間販売部数、購入冊数)の値を大雑把な根拠で説明してくれます

ユーザーは、この計算式と変数の根拠の妥当性を考え、自分なりに回答の妥当性や改善を考えることができます。また、ChatGPTは「こういうデータを入手すれば精度を改善できますよ、計算は私がやりますよ」ということも教えてくれます。このように、ユーザーが何に着目して努力すればよいかを教えてくれるというところを教育的と感じました。

また、ChatGPTのみ、追加でできることを2段階で提示してきました。こちらからすると、最初からそれやってよというレベルの内容なのですが、それぞれ実行すると30秒程度の処理時間が必要でした。どうも、おおざっぱでよいのでできるだけ早く回答が欲しいカジュアルなユーザー向けに計算資源を使いすぎないようにしているようです。

話題提供のうまいGrok

ざっくりした質問1への回答は、ChatGPTとGeminiは「数万人から数十万人」と同じでしたが、Grokのみ「数万人から十数万人」と上側の値を絞ってきました。これは、SF全般のファンは数十万人だが、海外SFファンはそのうち30%〜50%という見立てによるものです。このパーセンテージの具体的根拠は示されないのですが、言いたいことはわかるというか、そんなものかもという気にさせられるのがGrokの上手いところというか、ちょっとヤバげなところ。

回答の中で、Xの投稿傾向に触れてくれるのもGrokならではのおもしろいところです。今回の質問では、ChatGPTが触れていない『フォースウィング』のヒットに言及していたのは、さすが近年の流行に詳しいなと思いました。ただ、なぜか『ドサディ実験星』(フランク・ハーバート)への言及が多かったのが不思議。なぜに『ドサディ実験星』……映画『DUNE』のヒットに引きづられているのでしょうか……

Grokの最終的な海外SFファン人数規模の回答は、約3万人〜7万人と3サービスの中で一番小さいものでした。しかし、この値への算出ロジックの説明が曖昧で妥当性が今ひとつわかりません。なんかもっともらしい説明はあるのですが、よく読むと、定義がはっきりしないパーセンテージで絞り込みをかけていたり、ちょっと怪しい感じがしました。

質問1への回答もそうでしたが、Grokは、根拠はよくわからないけどそんなものかと思わせるのが上手い、ヨタ話のネタの提供をしてもらうには良いサービスという感じがしました。

優等生なGemini

Google Geminiの回答のおもしろいところは、質問を追加していっても回答が変わらなかったところ。

他の2サービスは、追加質問の内容を使って、不確かな仮説をあれこれ出してくれるのですが、そういったところが一切なし。一貫して、「推定は難しく、言えるのはこの程度」という内容から変わりませんでした。

今回の質問は、公開情報からは根拠ある推定が不可能そうな「ネタ質問」ですので、Geminiのこの態度が正解で、誠意のある回答なんでしょう。でも、身も蓋もないといか、ネタに付き合ってくれなくてつまらないというか、優等生回答なGeminiくん。でも、真面目な用途に使うのなら、この回答態度が一番、信頼がおけるんでしょうね。

まとめ

そもそもなんで海外SF小説ファンの人数規模が知りたくなったかというと、今をさること二十年くらい前に、SFも出版されているある出版社の方から、日本の海外SFファンは二千人くらいしかいないんだよ、と言われて、え、そんな少ないんですかね?と驚いた経験からです。

もちろんこの数は対象の定義によりまったく違うでしょう。おそらく、出版社の方はプロのタイ場で出版ビジネスとして当てになる数という意味だったのだと思いますし、私はもっとフンワリした「海外SF、好きですよと言いそうな人の数」レベルで受け止めたと思います。いずれにせよ、「ファン」という曖昧な指標では厳密な数値は出ない種類の話と思います。

その上でAIがどう答えるか興味があったのですが、各サービスの性格がうかがえて面白い結果でした。生成AIサービスの見解もかなり異なる結果になりましたが、皆さんはどのあたりが妥当だと思われますでしょうか。

実際に入力した質問文

質問1

日本に海外SF小説のファン、つまり、欧米で書かれたSF小説のファンはどのくらいいると思いますか?

質問2

この推定はSF小説というものと、そのファンというものの定義でいかようにも変わるとは思います。ここでは、海外SF小説の定義はなんらかの場でSFとして言及されている小説すべてということにします。また、海外SF小説ファンは、海外SF小説を1年間に複数冊、購入する人とします。この条件で推定すると、日本にいる海外SF小説ファンの人数規模はどの程度と考えられるでしょうか。

質問3

日本の出版社には、早川書房東京創元社のように海外SF小説を専門ジャンルとして掲げる出版社や、その早川書房のハヤカワ文庫SFのような海外SF小説専門レーベルがあります。また、河出書房新社奇想コレクション・シリーズや国書刊行会未来の文学・シリーズなどのSF作家の翻訳書籍を刊行する出版プロジェクトもあります。こうした出版社や出版物の販売データや、公開されているベストセラーランキング情報、それらの出版社が出版した海外SF小説に関するブクログ読書メーターなどの読書記録サービス、SNSなどからの言及から日本における海外SFファンの人数の推定を改善してみてください。