今週のお題「遠出」
自分の話ではなく、妻の話なんです。
妻は、子どもたちが育つまでは特に趣味というものを持っていませんでした。外出もショッピングでデパートに行くくらいが関の山。一人で遠出するなどということは考えられない人でした。
別に趣味があろうがなかろうが、どうでもいいわけです。しかし、自分と子どもたちにはそれぞれ小説やら音楽やらアニメやらといった好物があり、また、ゲームという共通言語もありました。家族の会話で一人聞き役になる妻に、子どもたちは、お母さんも趣味を持てばいいのに、楽しいのに、と常々言っていました。
それが、コロナ禍終わりの2021年、妻は突然、とある五十路ロックバンドのリーダーのファンになりまして、すっかり行動が変わりました。
最初は、CDや配信サービスで楽曲を買うという、自分から見てもごく普通のファン活動でした。その後、バンドのライブのBDディスクを揃え、大型TVに買い替えてサウンドバーも付け、東京(自宅のある)で開催されるコンサートに行き……と本格化。X/Twitterを始めれば、あっという間に数百人のフォロワーを獲得。子供たちや自分は唖然となりました。
そして、推しが全国ソロ・ツアーを開始。地方会場でのコンサート参加が始まりました。最初の1回目は、夫婦で結婚記念日の旅行として行った金沢会場。私もこの方の歌は好きなので、一緒に参加しました。
このときの経験が好印象だったのか、その後、妻は一人で他の地方会場にも参加したいと言い出しました。熱心なファンは推しのツアーの複数会場(というか、全部?)に参加するものなのである、という知識は自分にもありました。しかし、そういう人はどちらかというと「変わった人」というのが、自分の感覚です。なので、自分の家族が「そういう人」になるというのは想定外で、何を言い出したんだ、この人は、という感覚を持ったのを憶えています。
まあ、大の大人、しかも、子どもが家を出て飼っていた愛犬も虹の橋に旅立ち、少々手持ち無沙汰にも見える妻が遠出したいというのにあれこれ言うこともないな、と手を振って送り出しました。
初のツアーで妻が出かけたのは盛岡です。この時は、ちょうど事故で新幹線が止まっており、妻にとっては生まれて始めての夜行バスで往復して、推し活するファンは根性あるなーと思わされました。
その後、翌年以降も、東京会場のコンサートは当然すべて参加。地方への遠征も、大阪、神戸、奈良、松本……と様々な土地に旅行して、コンサートに参加するようになりました。それでも、チケットが取れないことの方が多く、チケットが取れさえすれば、さらにいろいろな土地に旅行していただろうと思います。
地方に遠征すれば、空き時間にあちこち訪れるわけで、土産話もお土産も増えていきます。遠征先では、Xで知り合った推し仲間と会って食事をしたり、お店に集まっておしゃべりをしたりしているようです。
自分にしても、妻に誘われて一緒に、アリーナライブや野外フェスに参加するようになりました。そういうところに出向くのは、自分では考えもしなかったことなので、新しい経験をさせてくれた妻と推しに感謝して楽しんでいます。
出歩く習慣のなかった人がこれだけ遠出するようになるのですから、よく言われる推し活の効果のすごさを日々実感しています。